漢字のススメ 漢字学者・白川静さんの言葉に感じるもの

04年12月16日の毎日新聞のネット版に、見逃してはならないインタビューがあった。

特集WORLD:
年の暮れに思う この国はどこへ… 漢字学者・白川静さん


(特集WORLDってするところがいかにも‘ヘンな日本’の新聞。しかも定冠詞THEがついていない。ところで、MUNDOでも、MONDEでもいいはずなのになぜWORLD?「世界」じゃだめなの? ああ、英語の奴隷だよな・・・。とつい文句の出たくなる題だが、内容はいい。記者の言葉はダメだが、白川静さんの言葉が、すごい)

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2004/12/13/20041213dde012070096000c.html


白川静さんの言葉には、ものすごく深い意味が潜んでいる。 抜粋してみた。

「春秋の筆法で言えば、これを附庸(ふよう)という。属国のことだ。同盟という言葉でごまかしているが、首都の近くの空港を彼らが使っておって、首都の入り口の軍港を彼らが使っておって、こんな同盟がどこにありますか。日本もアメリカに対して同じことをやっておれば同盟です。実はつけたしの国、アメリカプラスワンです。極めて不名誉なことです。都を攻め滅ぼされて、城下で講和を結ぶ、これを城下の盟(ちかい)といいます」

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「だいたい、アラブ系の民族は、かつてヨーロッパや地中海を支配するほどの大勢力を築いたんです。彼らが自浄作用によって自分の国が治められんという、そんなことはない。西洋史の半分は彼らが占めておる。そんなものを無能力者扱いして、軍を出すのは、なんぞ裏に思惑があると思うのが普通です。春秋に義戦なしという。春秋時代には多くの戦争があって、彼らは正しいと主張して戦争をやった。だけどもわずかのちの孟子が、春秋の歴史において、およそ正義の戦いというものはないと喝破している」


「そこだよ。かつて東アジアの世界は理念的にひとつであった。それを私は東洋と呼んでいる。その血脈をなすものが漢字である。それがいま、分裂している。政治の分裂がそのまま文化の分裂に反映している。日本語も朝鮮語もベトナム語も、半分以上、漢語です。統一した漢字を使えば、これは容易に意思疎通(注・本来の字は疏通)できる。東洋を回復したい。古典が読めないのは歴史を切り断つことである。そういうところでは本当の平和は生まれん。文字文化を回復することが東洋の平和につながる」

ちなみに、わたしの心のに一番響いたのは、

「その血脈をなすものが漢字である。それが今、分裂している。政治の分裂がそのまま文化の分裂に反映している」

台湾で漢字を自分の中に取り戻して以来、私の中では実に簡単にアジア人としてのアイデンティティが生まれた。つまり、自分をアジア人と同一視できるようになり、日本人である前にアジア人としての自分を考えるようになった。白川静さんのおっしゃるように、漢字を取り戻したおかげで、台湾と中国だけでなく韓国人ともベトナム人とも繋がり、アジアの問題がよくわかるようになった。沖縄の問題の核心が、よく見えるようになった

アジアの問題全てが自分の存在に関わってくるし、自分を語るときにはアジアの視座がないと説明できない。フランスに住んでいたときも、ここスペインでも、アジアの中をすいすい泳いできたし、漢字と食料品によって彼らアジア人とたちまち繋がる。

私という人間を説明する場合、もう‘日本人’だけじゃ足りない。それはおそらく、‘日本人’という概念が新しすぎるからだ思う。このことに‘日本人’が気づくまで、‘日本人’は‘日本人’の問題を抱え続けるのだろう。

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もうひとつ、漢字を知るっておもしろいなあ、と感じていることがある。夏目漱石も森鴎外もすらすら読めるようになったことだ。日本語の読み方がわからず中国語的発音のまま目で追ってしまうこともあるが。「ああ、このことばが日本でも使われていたのか」と楽しい発見の連続で、本が手放せなくなる。

皆様に、漢字の取戻しを絶対オススメ! ‘日本人’から脱するためにも、ぜひ!!
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by hamster_paso | 2004-12-16 22:42 | 日本の問題 Japon