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夕暮れの裏通り

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花嫁衣裳が、ありがたがられていないところがいいなあ、と思って。
 
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by hamster_paso | 2005-11-21 21:56 | パリ Paris

【パリ・暴動前】その3 ある激白

「あいつらは、ぼくらをどこかで軽蔑しているんだ!」

酔った勢いで、鼻息荒く話すのは、フランス人インテリのV君(24)。
貴族や位の高い家柄の友人をさして、V君は怒っているのだった。しがない国鉄職員の家に生まれたV君は、真面目で勉強好き。その甲斐あって、パリの中で1、2位を争う公立高校へ進み、やはりトップクラスの大学へ進学した。そろそろ大学院をも終える。卒業後は、外務省がダメならパリ市役所を受けたいと考えている安定派。日本的に見たら、国立大学に入学して公務員試験を受ける親孝行な息子。勤め先では、学閥の先輩からも、かわいがられよう。

しかし、フランスではちょっと違うらしい。フランスの大学は通常、国立なので、高貴な家柄の子弟も、国立大学へと進学するのが常だ。V君には、「こういう‘いい学校’へ行かなかったら決して知り合うことなどなかった」という高貴な家柄の恋人や友達ができた。ところが、彼女と同棲し、友達と飲んだりしているうちに、次第に精神的なかすかな隔たりを感じるようになった。貴族の血を引く友人たちが、会話の間に、庶民には冗談としてさえ思い浮かばないような言動をたびたびするからだった。

たとえば、先祖が貴族で一族にはパナマの大統領もいるというT君は、祖母の遺産に加え、パナマ運河関連の会社の株も持っており、毎月何もしなくても大金が銀行の口座に入る。若干26歳にしてパリ市内に一軒屋も購入。今、スウェーデンに買った島の観光開発にいそしんでいるところだというから、驚きだ。
一方、ガールフレンドと同棲しているマンションは、彼女の父親が、「娘が自分のそばに住むように」と、シャンゼリゼの裏通りにある自分の家の隣に買った物件。以前娘に住まわせていたマンションを引き払わせて、父の目の届くところに引越しさせた。部屋は大きくなくても、高級なアジアの骨董で飾られており、品がいい。V君は、未来のお義父様と彼女の3人で、毎週数回、一緒に夕食をとるという緊張の時を過ごす。同棲の条件だったそうだ。

酔ったV君が思わずこぼした愚痴は、こうした生活のなかで少しずつ鬱積していったらしい。わたしともう1人の庶民の友達の前で、久しぶりに心がホッとできたから、つい口が滑ってしまったのだろう。でも、「‘ぼくら’を軽蔑している」と、わたしまで「ぼくら」に含まれたところが、ちょっぴり哀しかった。精一杯お洒落して出かけたのに(汗)。

V君の話だと、フランスでは、貴族・高貴な家柄をもつ人々と、どんなに優秀でも庶民の出とは、埋められない一線が、まだまだ歴然とあるのだという。「フランスは、歴然とした階級社会なんだよ」とV君は諦めたように言い、わたしはフランス文学の世界がまだ残っているんだなあ、と妙にピントの外れたことを考えていた。

うちは長年、毎日新聞をとっているが、昨日(日曜)の付録の別冊の特集に、ディオールの宝石デザイナーのインタビューがあった。彼女もまた、貴族の子。子どもの頃から、シャネルの有名デザイナー、カール・ラガーフェルドらとの付き合いがあり、18歳のとき、彼から直接、宝石デザインをやってみないか、と声をかけられたという。世界の流行を動かすフランスのファッション界に出入りする貴族ならではの、おいしい運命……。
さすが、‘世界’のフランス。貴族の格づけが、他の国とは違うような……。

V君ほど優秀で、生粋のパリ青年でさえ、その違いを感じているというのだから、平凡で普通な人々と貴族の間の溝はどれだけ広くて深いのか。

庶民はおそらく、貴族の世界にシットを感じつつも、憧れやら溜息やらをもらし、自分の卑しい身分を嘆いているのかもしれない。そのはけ口に、移民や、さらに低所得者や品行の悪い異世界の者達を卑下し忌み嫌う心理が働いていたとするならば……?
貴族の世界へはもちろんのこと、庶民の世界にさえも入れてもらえない移民や異世界の人々が、もっと卑屈になったとしても、当然かもしれない。

リヨンに住む庶民の友達のお母さんは、娘を妊娠して大きなお腹のとき、愛犬を連れて散歩に行ったら、アラブ系の男の子に、「フランス女は、犬とも、やるのか!」と揶揄されて、いっぺんにアラブ人が嫌いになったと、以前話していた。遊びにきた私を連れて、きれいな公園行ったとき、このお母さんとお父さんは、「あら、こんなにきれいだなんて、ここにはアラブ人が来たことないのね」とジョークを言った。

フランスにはアラブ人ネタのジョークが山ほどある。今回、暴動がこんなに大きくなったのは、アラブ人や移民たちのこれまでの憤懣が大爆発を起したからだとニュースでは言われているが、それは、V君の愚痴と、同じ類の憤懣なのかもしれない。


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「わたしたちの未来は、どうなるのかしら……?」

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「しらないわ。そんなことより、アイスのほうがおいしいわよ」
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by hamster_paso | 2005-11-14 19:29 | 移民問題 los inmigrantes

【パリ・暴動前】その2 夜間外出禁止令

とうとう戒厳令が出た。

昨日、フランスに住む日本の友人とメールでやりとりした。
彼女は、移民の中には、生活手当てを受けているほうが、仕事をするよりも楽だから、仕事をするよりも手当てを受ける移民もまた多いこと、そういう移民によからぬ感情を抱いている人たちの間では、ニコラ・サルコジ内相が人気であることなどを、教えてくれた。

わたしがパリに住んでいた2000~03年の2年ちょい、わたしにも、仕事より手当てと考える移民の友達がいた。彼女はコロンビア人だった。仕事を見つけてきたキューバの若い母をよく批判していた。「ばかだよ、あの子は。仕事すれば、損するばっかりなのに」
生活手当てを受けると、市から買い物用に小切手や電車の定期が発行される。無料で米、パスタ、ビーフシチューの缶詰、牛乳、バターなど、食糧の無料配給もある。わたしもよく、分けてもらった。市が無料で配給するオムツを貰いにいくのを手伝ったこともある。私のまだ知らない保護もいろいろあるはずだ。貧しい人には至れり尽くせりのフランス。しかし、仕事が見つかると、これらの恩恵にあずかれない。ところが野菜などは、作りすぎた場合、価格安定のため、食べられるものでも廃棄処分されているという。極端ないい制度と悪い制度に、驚いた。

一方、税金はばか高く、家賃も高いが給料は安い。普通に働く人々は、日本の雑誌が「パリ、パリ」と憧れ賞賛する生活を享受など、できない。お洒落であるはずのパリなのに、スーパーで販売されている量販の服を着たり、吊るしの安い背広を着たり。実は、パゾの飼い主がスペインに移った原因も、ここにある。物価が高く、働いても吸い取られ、金など一生たまらないような生活に、これではやりたいことができないなあ、という焦燥感に駆られたのだった。スペインはそれなりに大変だけれども、お金の面では、フランスより格段に楽なような気がする。

フランスには、貧しい人と大金持ちにはやさしく、社会を支える大切な労働力には厳しい、という現実があるわけだ。このあたりも、今回の暴動と、どこか関係があるかもしれない。

夜間外出禁止令によって、こんな風景(↓)は当分お預けだろう。レストランやバーの賃金労働者たちは、一体どうなるのだろう? あ、それから名画座などの映画館も。


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by hamster_paso | 2005-11-09 11:06 | 移民問題 los inmigrantes

【パリ・暴動前】その1 カフェの窓から

フランス全土に拡大したという移民の暴動。
高い失業率、テロを防ぐ治安強化策として移民に対して街で行なわれている職務質問、公立高校ではイスラム女性徒はベール着用禁止という新法律などが、移民の不満として募り、警察に職務質問された少年が逃げ切れず高圧線によじ登り感電死したことが引き金となって、今回の暴動にまで発展した、と今朝のNHKニュースで解説していた。

しかし、わたしが帰国前に数日滞在したパリで聞いた説明はちょっと違う。ある友人は、2007年に行なわれる大統領選挙を睨んで、内相ニコラ・サルコジが「汚い移民を一掃」し、手柄を立て市民の信頼を勝ち取り大統領に当選する、というシナリオがあると言った。

サルコジといえば、相撲の力士のことを「ポマードを塗ったデブ」と平気で言い放った危険人物。アメリカに擦り寄る姿は、純ちゃん並みか、それ以上。サルコジのお兄さんは、日本で言えば経団連みたいな、フランスの財界連盟の会長だったか、副会長だったか。大手メディアや出版社の社長なども属する連盟だ。なので、メディアの操作だってお手のモノだ。ある人気雑誌で行なわれたフランス有名女性の人気投票で、サルコジの元妻(当時は妻。今は離婚)が人気No.1一番になったのだが、その雑誌の社長もサルコジ兄弟のお仲間だった。サルコジのお兄さんだって、テレビにもしょっちゅう出る。どちらも権威と金しか目にないように見える。どんなにエラかろうと、金を持っていようと、品格など漂う気配さえない兄弟だ。
別のフランスのインテリ友人は、「下品なサルコジが大統領になって、エリゼ宮に立つ姿なんて、恐ろしすぎて、想像したくない」と嘆いていた。
「あんなのが大統領になったら、フランスもおしまい」だと。

なるほど、こんなヒトが「街をきれいに!」と叫んだら、暴動しか起きないのか。このヒト、とりあえず、目下、大統領候補のNo.1だという。フランス人でなくても、気が重くなる。


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移民街のカフェの窓から見た風景は・・・・・・More
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by hamster_paso | 2005-11-08 09:33 | 移民問題 los inmigrantes

パゾ、再び日本上陸!

パゾの飼い主は、3年ぶりになるこの夏の帰省で、すっかり里心がついてしまった。
うひょ~、今度はぐっと短く、たったの3ヶ月ぶりでおかーちゃんの手料理だっ!
こんなに幸せなことはない。
夏は「ザリガニ連れてって」と叫び散らすガキどもの面倒で忙しかったから、
今度こそ、ゆっくり、ハネ、伸ばそ~。
今は秋。ザリガニなんて、もういないしね。あ~、よかった!!
と安堵したところで、どきっ。 イヤな予感が……。
あいつらって……(・・;)
……そうであった、忘れてた、
母の家が、悪ガキ小僧どもの巣窟なのだということを。私の到着など、朝メシ食べるより早く、嗅ぎつけるのだということを。
うっ、胸が苦しい!
両耳を両手で覆い、頭を振り、悪夢を追い払おうとしたちょうどそのとき、
「ザリガニ」「ザリガニ」「ザリガニー!!」
耳鳴りかと思ったが、それは本当の合唱だった。
恐る恐る見上げると、虫取り網を持ったチビどもがふたり、私の前に立ちはだかっていた。
「ざ・り・が・に、い・こ・う・よ」
「い、いないってば……。もう、秋だよぉ」
「いいの。いる。いなくても、行く!」
かくして、わたしは鎖につながれた犬同然に、ザリガニ採りに駆り出されたのであった。

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ザリガニ行くと言っときながら、蝶やらネコやらを見つけるや否や、小僧は荒野を駆けめぐる。……ったく!これだからガキャ困るんだよ。虫取り網で、ネコだけは捕まえんなよ、破れちゃうからね。

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「なにぃ!文句あっか?」
チビまでが、「あっかぁ?」

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「にいちゃん、あっち行っちゃたぁ」
ほっとけ。言うこと聞く薬なんて、どうせないんだから。

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ハムスターやうさぎから解放されたと思ったら、今度は別の、小動物だ。やれやれ。
こんな彼らをいつも静かに見守る影がある。
千里を見渡す富士山なのであった……。

(この項続く、たぶん。疲れ果ててなかったら……)
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by hamster_paso | 2005-11-06 10:59 | ふるさと日記 en mi casa